2015年07月22日

映画『ノロイ』をホメる!

どうも、黒道です。

いよいよ50個目のホメなんですけど、あまりにも何にするか悩み過ぎていつの間にか水曜日になっちゃってるんですよね。いくらなんでもやりすぎですねこれは。だからもっと記念とか大層なコト言わず簡単に考えて、面白そうな映画を選びホメカツすることにしました。

その結果辿り着いたのが、この作品です。

映画『ノロイ』



2005年、日本。白石晃士監督のホラー映画です。

結局白石監督に辿り着いちゃうという。このブログ、白石作品ステマブログじゃないのって言われるんじゃないかしら。流行りモノをすぐステマって言う人すげぇ嫌いなんですけど、私だってこんな風に記事書いてお金貰えるならいくらでもステマの発展に寄与しますからご依頼お待ちしてます。

さて、しょーもない話は置いておいて。
いや、かなり前からこの映画の存在自体は知ってたんですよ。まだ中学生くらいの頃になりますかね、「本当にあった話」として宣伝されてるこの映画を広告で見たことがありまして。「アンガールズがホラー映画に出てるのかぁ、気になるなぁ、でも怖いの苦手だからなぁ」って、結局見ないで終わりました。いや、まさか白石監督の作品だったとは。何か運命めいたものを感じてときめいちゃいますね。

そう、この映画は、白石監督の得意技『モキュメンタリー』の形式をとったホラー映画です。実際には起きていない事件を取り扱ったドキュメンタリー映画風にしてあるわけです。白石監督ファンならもうおなじみのやり方ですが、十年前からもうずっとそれでやってらっしゃるわけですね。
本作は特に、その『実話風』っていうところにすごいこだわっていらっしゃったみたいです。宣伝で「これは本当に起きた話です」と言うくらいは当然。主人公のホームページをわざわざ作ったり、芸能人を実名で登場させたり、TVショウ風の映像をわざわざ用意したり、そういうフィクションと現実の境界線を曖昧にして「これってマジ話なの!?」と思わせていくという宣伝方法をとっていたようですね。なんでも当時はそのやり方から「和製ブレア・ウィッチ・プロジェクト」と呼ばれていたとか。私はそのブレア・ウィッチ・プロジェクトを見てないからアレなんですけど。

残念ながら私は事前に「マジではない」と知った上で見ちゃってるワケですが、それはそれで「白石監督がコワすぎ! よりカルトよりオカルトより前に作った原点的モキュメンタリー」という見方ができますから何の問題もありません。さあ、早速紹介していきたいと思います。

10年以上に渡り怪奇現象を追って作品にしてきた怪奇実話作家、小林雅文。最近では映像作品も手掛けており、日本各地で起こる奇妙な現象をカメラに収めては世に発信し続けています。
そんな小林氏なのですが、ある日家が炎上し、妻が死亡。それと同時に姿を消した彼の行方は、現在も分かっていません。
そんな彼が最後に作っていた映像作品『ノロイ』。どうやら小林氏の失踪は、この作品が深く関係しているようなのですが……。
本来ならお蔵入りとなるはずだったこの作品を再構成した映画。それこそがこの『ノロイ』なのだといいます……。おお、いいですね。ナレーションも雰囲気も非常にそれっぽく、ワクワク感を煽ります。

映像は、とある親子の取材から始まります。
隣の家から赤ん坊の泣き声のようなものが聞こえる。それが、その親子が小林に相談した怪異でした。
無論、ただ赤ん坊が泣いているだけならおかしいことはありません。問題なのは、隣に住む女・石井潤子にはひとり幼い息子がいるのみで、赤ん坊はいないはずであるところです。そもそも石井家自体から不穏な雰囲気が漂っています。これ絶対アカンタイプの隣人です。
というわけでカメラマンと共に早速突撃する小林氏。声をかけても返事がないので、ちょっと強めにドンドンとドアをノック。その途端、ものすごい剣幕で石井が飛び出してきます。
「どうしてそんな言い方ができるんだッ!」
突如として小林の態度にブチ切れ出す石井。動揺を隠せない小林はなんとか取材を試みようとしますが、
「言い方ァッッッッッッッ!!!!!!!」
ガラガラガラ! ピシャン!

と、取材拒否されてしまいました。別に大して上から目線で言ってたわけでもないのにこのキレよう。明らかに普通な人じゃありません。更には、小林らを窓からじーっと見ている息子の存在。どうにも不気味なモノだらけですが、取材ができないなら仕方ない。小林らは一旦退散しました。
その後、おかしな事実が発見されました。その映像にどうやら奇妙な音が入り込んでいるようだというのです。これを解析してもらった結果、なんと沢山の赤ん坊の泣き声らしいと。うげぇ、こりゃ一体どういうことなのか。謎は深まるばかり。
小林らは日を改め、再び依頼者の家へ。するとそこには意外な展開が待っていました。なんとあの石井らは引っ越してしまったというんです。そりゃまたいきなりですね。それから赤ん坊の泣き声も聞こえないんだとか。じゃあよかったよかった……と小林らが帰宅した数日後、その親子は事故により悲惨な死を遂げました。た、ただの偶然でしょうか……?

とはいえ、その件は一旦おしまいということで。小林らは、それとは別の取材を行っていました。
それは、超能力少女・矢野加奈に関する取材。彼女が出演していたうっさんくせぇテレビ番組の映像を見てみると、透視能力とか物体を出現させる能力とか、明らかに普通じゃない能力を持ってるんですね。
彼女について取材を試みた小林ら。早速彼女の住む矢野家を訪ね、インタビューを開始します。そうしますとこれまた奇妙な事実が。最近、加奈ちゃんは見えない何かと会話しているというのです。何とどういうお話をしているのか訊いてみる小林。ところがその返事は、
「たぶんね、もう全部だめなんだよ」
……なんのこっちゃ分かりません。しかもそのしばらく後、なんとこの子失踪してしまうんですね。一体どうなっちまっているのか。

で、話はまた別の取材のお話になります。次々話が飛んで意味分からんなぁとお思いでしょうが、まあまあ落ち着いてください。
小林は、とあるトークイベントで、女優の松本まりかと共演することになります。というのもこの松本さん、霊感があるっていうんですね。それで、とあるオカルト番組の収録で、アンガールズと一緒に心霊スポットに突撃した結果事件を起こしてるわけです。
それが縁となりまして、松本の身の回りで起こり始めた怪異についても調査を始めた小林。気付くと手帳に奇妙な落書きをしていたり。寝ている間に毛糸や電源コードを奇妙な形に結んでしまっていたり。住人が何もしていないにもかかわらず、上の回から床をドンドン鳴らす音が聞こえてきたり。どうにも説明できない事態が起こっていたのです。

で、この一件何のつながりもなさそうな事件たちを結びつけたのが、霊能力者・堀光男
明らかに精神障害を持っており、その奇妙な言動から近所とのトラブルの絶えない堀。アルミ箔を貼った帽子とコートを着用し、常に何かに怯えたような挙動をし、『霊体ミミズ』なる存在から人類を守ると主張しておかしなビラを配りまくる……まぁ、ご近所トラブルも起こるでしょうって感じです。
上に挙げた松本とトークイベントで会った時も、何か訳の分からないことを叫びながらいきなり襲い掛かったりしてるんですね。そして更に、行方不明になった加奈ちゃんにも、行方が分からなくなる一週間ほど前から接触を試みていたと。
こりゃもう、この男に何もないと考える方がおかしいでしょう。小林らは堀の自宅を訪問し、話を聞こうとします。スゴすぎる自宅や堀本人の様子に困惑する小林。加奈について尋ねてもロクな回答が得られない。しかし次の瞬間、神がかりを起こしたようにして加奈の居場所を霊視しだします。
問題の場所はアパートの一室。そこを尋ねてみますと、そこには大沢という若い男が住んでいました。彼の部屋のベランダにだけ鳩が群がっている、その鳩を素手で掴んで部屋に連れ込むなど奇行が目立つ彼でしたが、小林がコンタクトを取ろうとしても居留守をキめ、それに応じません。それどころか、数日後には行方不明になってしまいました……もうどうすりゃいいのか。

八方塞がりの小林。やがて複数の出どころからある言葉にぶつかります。それが『カグタバ』。
聴きなれない響きのその言葉について懸命に調べているうちに、小林は恐ろしい伝承に行き当たります。ダムの底に沈んだ呪術師の村。鬼を鎮めたという伝説を再現する『鬼祭り』の存在。その祭りの中で『鬼』として表現される人智を超えた存在『禍具魂』。祭りの途中に突如として発狂した、神官の娘の噂……。

村の伝承が、一見関係なさそうな不審な事件を次々と結び付けていく。
やがて明らかになる、おぞましい陰謀。小林らに降りかかるノロイ。
『みんな死んだ』
この禍は、関わったものすべてを殺すまで終わらない――!



いやぁ、『コワすぎ!』『カルト』等、比較的最近の作品から入った白石監督ファンは、もうワクワクしてしょうがないでしょう。後の作品でも見られる様々な要素が、もうこの時点でガンガン出てますからね。単にモキュメンタリーってだけじゃなくて、ホントにあらゆる要素が10年前からの続きなんです。驚きました。
『コワすぎ!』見た方なら、「ダムの底に沈んだ呪術師の村」「鬼」って聞いたら確実に『劇場版』を思い出すでしょう。『霊体ミミズ』なんてもう、白石監督作品と言えばコイツ! って感じですからね。10年前からもうその名前が出てたんですね。

それに、伝記的要素もバッチリ出ている。古の資料もかなりそれっぽく作り込まれていますし、いかにも大学教授然とした人ががそれを示してくるモンですから「ホントにこういう資料があるのかな?」って思っちゃいます。お祭りの様子なんかも、かなり雰囲気が出ていて、実際にこういう祭りがあっても全然おかしくないよなというか、「本当に存在するお祭りを撮った感」がすごく出ている。
というか、やっぱりこういう「実はホントなのかな?」って思わせるのが上手だなぁと思うんですよ白石監督。途中に挟まるテレビ番組、いかにも「こういう馬鹿みたいな番組、いかにもだなぁ」と説得力があります。ダンカンさんとか荒俣宏さんとか飯島愛さんとかがワイプ画面に出てきてるのとかも更にそれっぽい。本当にこういう番組ありそうですもん10年前。番組に出てくる超能力者の胡散臭さとか半端じゃないですよ。出た瞬間普通にちょっと笑っちゃいましたからね。お笑い芸人とアイドルをセットで心霊スポットに行かせるとかも、かなりありそうな企画。
いや、分かってるんですよ。実際にはこんな出来事ないし、こんな番組も存在しない。小林なんて人はいないし、本も出していない。でも、しばしばあるんですよ。現実と映画の境界が分からなくなる瞬間が。すぐ冷静になって「いやいや、映画だからコレ」と思い直すんですが、ひょっとしたらこの世のどこかにあの気味悪いモンが存在してるんじゃ……と、不気味な説得力があるんですよね。

この映画の怖さを支えているのは、そういった資料のリアルさだけじゃありません。後の作品にも受け継がれている『強烈なキャラクター』『暴力とグロ描写』これについても語らねばなりますまい。
まず強烈なキャラクター。やっぱり本作の石井潤子はその筆頭でしょう。出ているシーンはそれほど多いわけではありませんが、登場シーンという登場シーンで「言い方ァッッッッッッッ!!!!!!!」とブチギレてますからね。何がそんなに彼女を言い方にこだわらせるのか。自分が特別な存在だと思ってるからでしょうかね。
同じく堀のことも忘れちゃならんでしょう。あのインパクトある見た目もそうですが、演技が完全に狂人のそれですからね。何考えてるのかほとんど理解できないあの狂いっぷり。役者の寺十吾さんは映画監督・演出家でもあるそうです。アレなんでしょうか、監督界隈では知り合いの監督の作品で役者やるのって結構普通なんでしょうかね。なんだ監督界隈って。
そして強烈なキャラクターにはですね、やっぱり強烈な住処があるわけですよね。堀も石井も、家がすごいんですよ家が。堀の家の周りにはビッシリと霊体ミミズの恐怖が書かれていますし、石井の家の周りには奇妙な紐がびらびらびらびらぶら下がっている。家の中はもっとおかしい。見るだけで「コイツは異常者だ」と思えるこの作り込み、きっと監督が相当こだわって、そして美術の方が相当頑張っているに違いありません。

そして暴力・グロ描写。
いや、海外のスプラッターホラーみたいに血みどろ祭りってワケじゃないんですけどね。でも、こう、動物の死体とかってやっぱり見て気持ちいいモンじゃないですよね。はらわたとか出てると特にね。ハイそうです、白石監督作品にはしょっちゅう出てくる動物の死骸ですが、今回もバッチリ登場します。もうお腹いっぱいになるまで登場します。堪忍してほしいです。
そして暴力。『コワすぎ!』工藤みたいにボコボコにするわけじゃありませんし、全編暴力って感じじゃ全然ないんですが、見ていてうわぁとなる陰鬱さです。子どもをブン殴るシーンなんてのは特にそうでしょう、最近の映画じゃ配慮があるじゃないですか結構、小さい子どもを暴力に晒して殺すようなのはちょっと、って。殴りますからね。殴って出血させますからね。オイオイマジかよ。
ホント、昔からこうなんだな白石監督! ってたまげますよ。

そして何より「昔からこうなんだな監督!」って思わせるのは、伏線回収
邦画ホラーなんてのは大概理不尽・不条理なモンで、人が呪われたり殺されたりするのなんて大した理由ないんですよね。まるで天災のように、たまたま触れてしまったせいで怪異に遭うし、善人だろうがあっさり死ぬ。「結局あいつは何だったんだ」って思わされることも多いけれど、大概『そういうモン』なんですよね。よくあるでしょうネットに伝わる怪談でも「結局アレが何だったのかはよく分からない」って。それでいいんですよね。
この映画も「すべて完全にスッキリ!」かと言われたらそんなコトないんですけど、観客が「えっ?」と思ったことが結構スパッと回収されていく気持ちよさがあるんですよ。一見繋がりの無いように見える事象が繋がりだした瞬間に「おおっ」と思わされたり。後から考えて「ああ、あれはそういうことだったんだ!」と納得したり。ホラー映画らしからぬ気持ちよさがそこにあるんです。
しかも回収されなかった疑問に関しては、考察したくなってしまう。これだけ凝っているのだから、何の理由もなくこんな風になっているはずがない、何かあるだろうと。その意味について考えてしまうんですね。白石監督作品ファンにはそういうタイプの方が多い気がします。答えが知りたくて各作品を巡り「おお、あれはつまりこういうことか!」と納得し、また「この作品ではこうだったということは、つまりあの作品のあのシーンはこうなのでは?」みたいに考える。こうやって白石監督沼がどんどん深くなっていくんですね……。
全部の答えをジャンと示してくれればそれはそれでスッキリ気持ちいいんですが、言葉で説明しちゃうと割とそれだけになっちゃうんですよね。私もよくこのブログで言ってるんですが、なんでも言葉にすれば陳腐なんです。親切なのもいいんですが、考察の余地のある作品は長く楽しめますから、私はそういうトコにやっぱり魅力を感じちゃいますね。



どう考えても話がおかしいところがあるとか、CGがアレだとか、ツッコもうと思えばツッコめるところは色々あるんですけど。そこはこう、ここがダメここがダメの『減点方式』じゃなくて『加点方式』で見てほしいですよね。そうすれば、それを補って余りあるくらい、やっぱり面白いし、強烈だし、何よりちゃんと怖いんですよ。私、『コワすぎ!』は「これ面白いよ!」ってオススメするかもしれませんけど、この『ノロイ』はあえて「これ怖いよ」ってオススメさせていただきたいと思います。
『コワすぎ!』『カルト』だけ見て「白石監督はホラーに見せかけた面白映画を撮るマンなんだなぁ」と思っているアナタ。邦画ホラー? って思ってナメているアナタ。言い方ァッッッッッッッ!!!!!!! ……じゃなかった。さあ、この映画を手に取り認識を改めましょう。
この映画を見て、現実と虚構の境界がブレてしまった方。各シーンが持つ意味を考察し始めてしまった方。他の作品も見なきゃと使命感に駆られだした方……たぶんね、もう全部だめなんだよ……?



それでは、次回のホメカツをお楽しみに!

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posted by 黒道蟲太郎 at 22:16| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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