2015年06月03日

映画『戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版』をホメる!

どうも、黒道です。
今まで散々便宜上『映画』カテゴリで扱ってきたこのシリーズ、やっと今回は正しい括りで紹介できます。

『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』
『史上最恐の劇場版』




2014年制作、白石晃士監督のホラー作品です。

「劇場版だよ! The MOVIEだよ!」と工藤が意気込んだ所で終わった前作。
その宣言通り、この『劇場版』、普段以上の予算をかけた作品になっておりました。
早速見ていきましょう。

その日工藤らの事務所に呼び出されていたのは、三人のゲスト。
前作『お岩の呪い』で大活躍した霊能力者、道玄。ゲストキャラが(正気のまま)二作続けて登場って本シリーズじゃ初だったりしませんか?
ナントカ賞を貰っている物理学者、斉藤
サブカル界では知らぬ者のいないアイドル兼コメンテーター、小明。

こんな異色の三人がなんでここに集められたかってーと、無論『コワすぎ!』劇場版撮影のためです。
前作で工藤が言っていた通り、今回は劇場版だし、ゲストをいっぱい呼んで盛り上げようというのです。
考えてみたら、やっぱ心霊系の検証っつったら霊能力者必須みたいなトコありますし、「そんなのインチキに決まってるでしょ」みてーなコト言う学者さんも欲しいトコですし、「キャー怖い!」って言う係の女の子もいたらマストですよね。いつものメンツだったら暴力男と比較的肝の座った女と「うわっ!? えっ、えっ!?」って一番ビックリするカメラマンという誰得パーティですもんね。

大所帯になった御一行の今回向かう先は『タタリ村』
某電力会社の私有地である山の奥にあり、半分がダムの底に沈んでしまった廃村。ネット上で「行ったら確実に死ぬか発狂して行方不明になる」と有名な、今最高にアツい心霊スポットです。ネット住人有志が何人も向かっていますが、あまりのヤバさに途中で帰ってしまう人続出。勇気を出して奥まで行き写真を撮った者もいるようですが、その勇者も伝説通り発狂し行方が分からなくなってしまったようです。

で、そんな勇者の遺志を継ぎ、実際に映像を撮りに行っちゃったカップルがひと組。
『コワすぎ!』ファンであるというこのカップルは、工藤チームに負けないような映像を撮るぞ〜と意気込んで、ビデオカメラ片手に『タタリ村』撮影の旅を敢行します。やめときゃいいのに……工藤のファンっていう時点でだいぶヤバさがありますよまず。工藤になれるのは工藤だけだぞ……。
タタリ村入り口として有名な『立入禁止』看板もシカトし、ふたりは目的地を目指します。賽の河原めいて積み上げられた奇妙な石、無残な動物の死骸……もう帰りたそうな彼女ですが、彼氏のゴリ押しで撮影続行。山道を進むうち、とうとう村に辿り着いてしまいます。
朽ちた廃屋、串刺しにされた動物の頭……これ完全にヤバいヤツです。
そして事態は、賽の河原の石がデカくなったようなヤツに近付いたところから一変します。廃屋に存在する『何か』を見、突如混乱し始める彼女。なんか白い手も出現するし、瞬間移動するし、彼氏の制止も聞かずどっかに行き始めますし、完全にどうにかなってしまっています。
彼女を一生懸命追いかける彼氏。そんな彼の目の前で、彼女はダムに飛び込んでしまいます。慌てて覗き込んでも彼女の水没した痕跡はナシ。しかも空中にはUFOめいた白い光の玉が。訳の分からぬまま、映像は幕を閉じます。そしてひとり残された彼氏君は、失意のままこの映像を『コワすぎ!』に投稿したというわけです。そんな状況でも投稿するんかい! って感じですが、工藤に除霊パンチでなんとかしてほしいっていう最後の希望だったのかもしれませんね。

これだけで済めばよかったんですが……なんと映像はもう一本ありました。
それは、『取材班三人が投稿者の部屋を実際に訪問した映像』。あっ……もうこれがゲストに向けて上映されるって時点で彼の生存は絶望的ですね……。
家に行ってみたら、案の定というか、明らかに様子のおかしい投稿者が待ち構えていました。家に上げるもひとッことも発さない彼に、流石の工藤も困惑。無言で促された市川が話しかけてみると、突如見えない『何か』を撫でまわし始め、市川に向かって暴言を吐き出す始末。そろそろムカついてきた工藤がぶん殴ってやろうとすると、いきなり包丁を取り出します。一同が驚愕しているうちに、彼はその包丁を、あろうことか自分の首に向けて振るいます。
その後彼は病院に運び込まれ、一命を取り留めたものの、完全に気が狂っていたそうです。精神病院に入院していた彼でしたが、しばらく後に脱走。その後、行方不明になってしまいました……。
タタリ村伝説の通り、ここを訪れた二人は発狂し、消えてしまったわけです。

本気でヤバいと警戒する道玄。「バラエティ的なノリだと聞いてたのに」と困惑する小明。何ビビってんの? オカルト案件なんて実際にあるわけないじゃん! と完全にナメきっている斉藤。完全にバラバラのゲスト達……しかし工藤らには、どうしてもタタリ村に行かねばならない理由がありました。
それは、この場所に『異世界』の秘密がある可能性が高いから。

前作において重要な役割を果たした歌舞伎『東海道四谷怪談』。その作者である鶴屋南北が、作品を通して呪術を完成させる『呪術師』であった可能性があるというのです。
それだけじゃありません。その鶴屋南北は、芸能に秀でた呪術師の村『然野村(モノムラ)』出身であったという話まで浮上しています。そしてその然野村こそが『タタリ村』だっていうもんですからもう大変です。
更に更に! この『タタリ村』の存在する土地、戦中は旧日本軍の持ち物だったというのです。呪術師集団がこの土地を譲り渡すと決心したのには、ある密約の存在があったんだとか。現在では資料が残っていないようなのですが、その密約に従って、旧日本軍はこの地に地下研究施設を建造、何かを研究していたとか……。
『日本のエリア51』とまで言われるこの場所、工藤的にも調べないワケにはいきません。明らかに怪しいこの場所の秘密を解き明かし、異世界について探る。ついでにこの映像でガッポガッポ金稼いで借金返す! その為に、行くしかないのです、チーム工藤!

ですけどもう、明らかに行っちゃいかんヤツなのが現地に到着して割とすぐに分かります。
工藤が運転する車はいきなりブレーキがかからなくなり、危うく大惨事になるところでした。
近寄るなという『何か』からの警告も、立ち入り禁止看板も無視した一行が先へ進むと、映像にあった動物の惨殺死骸が消えています。代わりに、賽の河原的石の塔は増えている。明らかに誰かが動かしてないと起きないコトです。
ああほら、そして動物の生首も増えてます。どう考えても何かが存在する証です。
パニックを起こしてこれまでの人生を回顧しだす小明、明らかな持ち込み機器の異常に動揺しながらも「想定内! 想定内!」と連呼する斉藤、危ないからさっさとコイツら帰せと工藤にキレる道玄、俺達は覚悟して来てんだよ! と勝手に他のメンバーを巻き込んで逆ギレする工藤。もうムチャクチャです。

案の定、タタリ村に到着した面々は次々と怪異に苛まれることとなります。
斉藤の機器には異常な数値が次々と出、小明はあからさまに何かに取り憑かれ、道玄は人智の及ばぬ強大過ぎる力に匙を投げ始める。更に、霊を退治しようとして呪物パンチを繰り出した工藤の腕に、あの『呪いの飾り物』が吸い込まれてしまいます。

怪異にやられ、あっという間に崩壊していくパーティ。
取材チーム史上『最恐』の危機の中、現れてはならないものが、遂にその姿を現します。『コワすぎ!』シリーズで繰り返し触れられてきた恐るべき存在、『異界の鬼』が……。

全ての真相を知るために、工藤達は進みます! その圧倒的暴力によって!
果たして異世界とは!? 鬼とは!? 自分達が追ってきたものは、一体何なのか!?

……と、お話はこういうところなんですが。
これはもうね、ホラーという枠を超えてしまっていますよ。いや元々そういうトコありましたけど。今回は劇場版というだけあってね。この映画の持っていた魅力が、どれも数倍になって襲い掛かってきます。どうしてコレ劇場で見れなかったんだろって後悔するレベルで。

登場人物のキャラ立ちっぷりが凄まじいですよね、今回。
ゲストキャラ三人がまずとんでもない。道玄のキャラが濃いのは前回から分かっていたコトとしてもです。
斉藤なんてかなりいいキャラしてるじゃないですか。あらゆるオカルト的事象を「そんなのあるわけないよ」と一蹴。道玄のコトなんか完全に見下してます。しかし機械に不調が出たら「こんなの有り得ない、故障だ」等と大騒ぎし、少し落ち着いたら「いやいや、想定内だよ」と大物ぶり始める。そのくせ、お金の前では簡単に自分を曲げちゃうし、暴力にはあっけなく屈して犬と化す。小物オブ小物。

サブカル界では知らない人のいないアイドル兼コメンテーター、小明さんもそうです。最初登場した時は「カメラの前でぶりっこするクセにそれ以外では態度悪くていざ怪異に遭遇したらぎゃあぎゃあ言った挙句死ぬ感じの人かな?」って思ったんですけど、事態はもっと深刻でした。
かつて出していた写真集やら本やらCDやらそういうのはことごとく絶版になり、それでもアイドルの肩書は守りつつ、コメンテーターとしてもお仕事をしている。
キツい人生送ってるから仕事選んでられないのは分かるけれど、マネージャーに「バラエティ的なノリだから」と『コワすぎ!』に送り込まれて、バラエティ的なのじゃないの? と思ってたら「心外ですね」と工藤に静かにキレられ、挙句明らかにキチガイのいる廃村へ送り込まれ……笑いながらキレる演技が哀愁を誘います。もうこれ以上イジメないで!

……ちなみにこれは私の無知が悪かったんですけど、最初彼女を見た時、こういう設定で白石監督が作った売れないアイドルキャラなんだろうなと思ってたんですね。でも小明さんはいわゆる『本人役』で出演していらっしゃる実在の人物で、しかもその経歴まである程度マジなんですって……。
非実在の人物だと思ってたんですよ私。そんで「なんだこのキャラ! 発狂しろ早く!」等散々ツイッターでディスりまくってたら、なんと本人のアカウントにコレを捕捉されるという大事件が起きました。ご本人が「そういう役なので、むしろありがとう」と許して下さったのが救いでした。寛容な方でよかった。その節は本当に申し訳ありませんでした。

……えーっと、小明さんに謝罪するブログではないのでそろそろ先に進めますね、すみませんね。
他にもキャラが立っていたといえば、『鬼』の秘密、そして工藤の秘密を知る謎のご老人
名前すらも紹介されないキャラクターなんですけど、異様に存在感を放っています。まず顔からして、世界の秘密を知る賢者とか仙人の顔ですよね。
挨拶も無しで自分ちに不法侵入してきた工藤達を見ても、この爺さんは全く動じません。それどころか、工藤達の知りたい秘密を次々に教えてくれます。それも、小さな子どもに語って聞かせるような、優しい語り口で。
この爺さん、完全にサイコパスなんですよ。『鬼』の正体が世界を揺るがすような恐ろしいモノだと知っているにもかかわらず、それすらも楽しそうに伝える。それどころか、「こんな下らん世界は混沌に戻した方がいいに決まってる」とまで抜かします。一連の事件の『黒幕』たる人物が訪ねてきたコトについても、「嬉しかったねぇ」なんて楽しい思い出話のように語り、記念写真まで撮っている。
おおよそ世界に関わる秘密を握っている男の態度とは思えない。まるでイタズラがバレたやんちゃジジイのように、全く悪びれる様子もない。短い出演時間ながら、シビれるキャラでしたね。

そして誰より、工藤ですよ!
工藤、その滅茶苦茶な人格が、今回いつも以上に炸裂してます。暴力を振るった回数は、間違いなく全シリーズナンバーワン。更に今回は言い逃れのしようのない犯罪までガンガン犯してしまっています。
真実のためなら犯罪すら怖くないという本人の言に嘘はありません。日本は腰抜けばっかだからこのDVD倫理的に売れないっつーなら、海外で売ってやりゃいいんだよ! と、迷いナシ。そんな中でも金勘定は忘れず、市川から「お金ですか!?」と怒られても、「両方だよ!」と堂々返事。確かに真実も金も両方大事だ、ウン。
そんな工藤にこれまで張られていた数々の伏線が回収されていく作品でもある本作。衝撃の事実を知った工藤は、それでも全く己を曲げません。

「俺の頭の中にさ。いつも聞こえる声があんだよ」
「聞こえんのはこうだよ。……『運命に逆らえ』ってな」


これ、ホラーの登場人物から出る台詞じゃないでしょ!
そして、遂に姿を現す『鬼』との戦い! これもう、あの、ホラーじゃなくて、特撮だよ!

『コワすぎ!』シリーズの謎が一気に解明される本作。これまでバラバラだったいくつもの怪異が、形をとって繋がります。
ここまで追いかけたファンなら、見ない理由がありません。どうぞご覧ください。

そして運命の『最終章』……ああ、私もう見ちゃったんですけど。
最終章を見るその前に、同じ白石晃士監督作品『オカルト』を見た方が良いとのこと。
しばらく前にやってた『カルト』みたいに無料配信が始まるらしいので、そちらをホメカツしてから最終章ホメに入らせていただきたいと思います。全部終わったら『総括』みたいなホメ記事を書いてもいいかもしれませんね。
つまり次の更新からしばらくは、通常営業に戻るってコトです。お待たせしました。六月もガンガンやっていきたいな。



それでは、次回のホメカツをお楽しみに!

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posted by 黒道蟲太郎 at 03:22| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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