2015年05月20日

映画『戦慄怪奇ファイル コワすぎ! File-01』をホメる!

どうも、黒道です。国道でも酷道でもないコトはあまり知られていません。
あ、でも『国道』名義で活動したことは一瞬だけあります。

さて、ホラー映画ばっかり紹介している当ブログとしては、そろそろこの作品をホメカツせねばなりますまい。
若干ブームに乗り遅れている感ありますが、ブームとか言ってたら1980年の映画とか紹介してられませんからね。気にせず今日も頑張ります。

映画『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』
『File1 口裂け女捕獲作戦』




2012年、白石晃士監督のホラー作品です。
正確に言うと映画じゃなくてDVD映像作品なんですけど、なんかカテゴリ分けが難しいので映画カテゴリで紹介させていただきます、申し訳ありません。

さて、白石晃士監督の作品といえば、以前当ブログでも紹介させていただいたことがあります。
そう、「スゥーッ……セイッ!」やNEO様でお馴染み、『カルト』です。
ホラー映画でありながら突っ込みドコロや笑いドコロ満載、かと思ったら後半怒涛の伏線回収に圧倒させられ、最後には少年漫画や特撮を見た気持ちにさせられる、そんな不思議な魅力を持った作品でした。セイッ!

私の観測範囲で申し上げると、『カルト』が流行した時期から少し遅れて、この作品のスゴさも広まり始めていたように思います。あの白石監督の作品だろ!? こりゃ見なきゃ! と私も思ってたんですが、なかなかその機会が無く、結局今になってしまいました。

まあ、面白いモノは発表から何年経って見ようが面白いって昨日の『シャイニング』見て分かったばっかりなんで、どんどん見て行こうと思います。本来イッキ見したいところなのですが、先日レンタルDVDショップに行ったらFile1しか借りられなかったので、仕方ないですし順番に紹介していく形式で行こうと思います。

この作品は『カルト』と同じように、モキュメンタリー形式、つまり『実録系・ドキュメンタリーというテイの』作品です。
視聴者から送られてきた映像を基に、取材班が取材を行っていくというスタイルですね。

物語は、アシスタントの女性・市川が、ディレクターの工藤に見せられた一本のビデオテープから始まります。

矢野北村という若者ふたりによって撮影されたその映像。そこに映っていたのは、閑静な住宅街でトレンチコートを着、バサバサの長髪にマスクという奇妙な出で立ちの女性でした。壁に向かって何やら独り言を言ってみたり、どーもマトモな人じゃなさそうです。こういう気持ち悪い人を見るのが好き(どういう趣味だよ!)だという彼らは、その奇行をこっそりビデオカメラに収めていました。
ところが、この女性が突如としてふたりを追いかけはじめたのです。しかも、尋常でなく足が速い。女性でトレンチコートを着ているのに、元陸上部の北村君よりもそのスピードは上。
必死で逃げた二人が振り返ってみると、彼女の姿は無い。安心したのも束の間、全く別の路地から彼女が現れ、再び迫ってきます。それに気付いた二人はなんとか逃げおおせ、この動画を『コワすぎ!』スタッフに投稿したというわけです。

この映像を見たディレクター工藤は、この女の風貌、そして足の速いという特徴から「こいつは現代に蘇った口裂け女ではないか」と推理します。確かに口裂け女と言えば、マスクをした女性で、クッソ足が速いと言われていますが……。
愉快犯では? と冷めた感じの市川。ですが、工藤に連れられ、早速現場へ取材に向かいます。かくして、ディレクター工藤、アシスタント市川、カメラマン田代の取材チームは、この『口裂け女』の謎に迫り始めたのです……。

……いや、今のは正確じゃありませんね。
『謎に迫り始めた』そんな甘っちょろいモンじゃありません。
工藤が狙うのは、あろうことか『口裂け女の捕獲』
伝説上の存在とされた口裂け女を実際に捕獲して、その捕獲映像をDVDとして売る。その物珍しさからみんながDVDを買う。結果、ガッポリ儲ける!
果たして、このとんでもないディレクター・工藤の一攫千金大作戦は成功するのか……!?

あらすじを説明すると、こんな感じですね。
何の前提知識もない状態でこの記事を読んだ方、最初読み始めた時「怪異について取材し始めた取材班がその中で怪異に巻き込まれるのかな〜」って思ったでしょ。違うんですよ、もっとアクティブな関わり方なんですよ怪異に対して。怪異だろうなと思うモノに向かって車で突っ込んで行ったら案の定怪異が広がってたけどその広がった怪異を捕まえて売って金にしようってハラなんですよ。なんだこいつら!? 最高にイカれてますよ!

というわけで、Here we go! OKアリーナ!
今夜のイカレた≪取材班≫(メンバー)を紹介するぜッ!


最高にクレイジーなこの取材班を指揮する≪男≫(ディレクター)、工藤ッ!
ただの頭おかしい人かもしれない相手を口裂け女と即断定! 怪異に対して怯むどころか捕獲して金儲けの道具にしようと目論む恐れ知らずの男!

工藤のムチャクチャに冷めた感じで付き合う≪女≫(アシスタント)、市川ッ!
工藤の暴走に苦言を呈することの出来る数少ない存在だ! もっとも、いくら苦言を呈したところで工藤は大概やめないけどな!

そして、一連の出来事をバッチリカメラに収める≪男≫(カメラマン)、田代ッ!
工藤が何をしようと市川がどうしようと、淡々とそれをカメラに収め続ける! そして喋らない! いいのかッ! お前、止めなくてもいいのかッ! 俺の仕事はこれだと言わんばかりの職人芸!

工藤の理不尽な暴力暴言で成り立つこの取材班! 取材方法も力技だ!
ホームレスのおっちゃんに馴れ馴れしく話しかけ、千円札握らせて情報を引き出す! 情報を吐かなかったら、その瞬間暴力アンド暴言にシフトチェンジ! 痛めつけて情報を引き出したら、もう数枚の千円札を握らせて揉み消しだ! 三千円で人権を蹂躙した上情報まで手に入れた! 鞭がデカすぎる飴と鞭!

女が相手でも、彼の理不尽は止まらない!
物理的暴力がダメなら、精神的暴力で突撃取材だ!
取材対象の知られたくない情報を事前に掴む、そのリサーチ能力にはただただ感服! 何の前触れもなく情報を出して、逆上させたところをゴリ押し! 相手の思い出したくもない記憶を引き出して、どさくさに紛れ情報をゲット! かと思えば上手にお金も使っていく、ここでも飴と鞭戦法!

彼の人権蹂躙はそれだけじゃ終わらない!
『口裂け女』捕獲の餌には、動画の投稿者を使ってしまえ
明らかに危険な口裂け女との接触に、一般人の青年を一切の躊躇なく使用! 使えるモノなら何でも使う! 相手の良心や恐怖心を逆手に取った卑劣な戦法! もちろん、使える作戦は卑劣だろうが何でも使う!

更に口裂け女本人に対しても――いや、これは実際に見てからのお楽しみということで……。

と、まあ、この取材班がムチャクチャというよりも、工藤がムチャクチャなんですよね。
工藤、完全に周りの人間を自分の使える駒としか認識してませんからね。
それも更に面倒臭いのが、「俺は安全圏から見てるから駒のお前らが戦ってこい」というんじゃなくて、「大将の俺が自ら戦ってんだからお前も当然戦うだろ!? 戦えよ何甘えてんだ馬鹿野郎!」ってスタンスなトコなんですよね。

ブラック企業の社長の話を思い出しますね。
彼らって、若い頃スーパーマンだったことが多いそうですよ、ご存知でした?
なんにもない状態から、普通の人間なら当然体を壊すであろうレベルで労働をこなして金を稼ぎまくり、現在の地位を手に入れた。当然すごいことですが、それは一部の強靭な肉体や精神を持つ人だけができることであって、誰にでもできることじゃない。それを「俺ができるんだからお前らにできないはずないだろ、できないのは甘えてるからだ」と他人にも強制すると。
工藤もちょうど似てるんですよねこの構造が。自分は取材の為なら何でもするんだからお前らも何でもしろって感じで、次々に無茶振り。コワすぎなのは口裂け女というよりもお前だぞと!

はっ、工藤の話で盛り上がりすぎましたね……。
お話としての話もしたいんですが、なにせこれ『File-01』じゃないですか。つまりは導入なんですよ。今、恐らくは最終章に向けて丁寧に伏線張ってるところなんですよね。まだその状態なのにアレコレ言えないなという気持ちもありまして。

とはいえ、これがドラマや漫画の第一話だとすると、お客さんを掴むことにはバッチリ成功してると思うところです。
理不尽なプロデューサー工藤率いる取材班という魅力的な(?)キャラクター達がいるお陰で、話自体はサクサク見ることができます。
悔しいけどこのクソ野郎のお陰で話に引き込まれちゃうんですよね。こいつら次々とんでもねぇことするもんで、誠に遺憾ながら驚くほど話に起伏が生まれるんですよね。話の起伏ってこんな圧倒的暴力によって作るモンだっけ!? いいのかこれで!? 悔しいでも見ちゃう。
かと思えば、ふざけてるばっかりでもなくて、『情報の出し方』にしばしばハッとさせられるんですよね。
前回『カルト』でも感じたんですが、この監督は伏線回収とか、視聴者に与える情報の扱いが巧みなんですよ。
私がすごいなと思ったのは、先ほど紹介した、工藤が情報を精神的暴力で回収するシーン。
視聴者も知らない情報を突然ポンッと出すことで、見てる側が一瞬登場人物達と同じ「えっ」って気持ちにさせられちゃうんですよね。客を飽きさせないためには、常にその心を動かし続けなきゃいけませんから、これは本当に巧みだなぁと思うところです。

そして、先々への伏線と思われるものがこれみよがしに置いてある。
たとえば、工藤の過去に関する話。あのシーンには、工藤が単なる暴力装置じゃなくて生きた人間なんだなって思わせる効果もありますが、同時に「これは後の展開に関係してくるな」と視聴者が気になるポイントを作る効果もある。
ある意味、口裂け女の謎はほとんど解明されないまま終わっちゃうんですが、単に畳み切れていないというのではなくて、「これは続きが気になるな」と先を予感させる、あえて畳んでいない感じなんですよね。
そこで「きっとこの伏線はこの後のシリーズで回収して畳んでくれるんだろう」と信頼を寄せちゃうのは、私が『カルト』を見たせいでもあるんですが、やっぱり作中でチョイチョイ情報の扱いのウマさを見せているからだと思うんですよね。
暗に言われてるんですよ監督に。「私はこれだけ情報を上手に扱えますよ、だからきっとアナタをガッカリさせません、だからどうぞ続きも見てくださいね」と。

やっぱり、この監督は頭良い人なんでしょうね……。
伝統的Jホラーの文脈を踏まえながら、自分の色や才覚をそこに滲ませて、視聴者にしっかりとエンターテインメントを届けていると感じました。
既にFile-02〜File-04まで借りていますので、どんどん見て、ここでホメカツしていこうと思います。



それでは、次回のホメカツをお楽しみに!

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posted by 黒道蟲太郎 at 18:08| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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