2015年04月29日

映画『カルト』をホメる!

ドーモ、黒道です。

すみません、数日間更新が滞っておりました。入院中は時間が有り余っていたからいくらでも映画見られたんですけど、これからは見方もいろいろ考えないといけませんね。
さて、こうやって更新しているということは、当然ながら『ホメ』たい作品が出てきたということなわけですよ。
早速紹介していきたいと思います。

映画『カルト』



2013年公開、白石晃士監督。日本のホラー映画です。

いやはや、実の所日本のホラー映画紹介するのってこれが初なんですよね。それどころか邦画自体これが初だったりしてね。意外と見ないんですよね邦画。しかも邦画ホラーっていうと私、謎の苦手感がありまして……実は苦手なんですよ私本来こういうの、お化け屋敷とか怖くて全然進めませんし……スプラッターホラーの世界なら恐怖の世界というより圧倒的暴力の世界だからOKなんですけど。

ところが、フォロワーさんからのオススメで見てみますと、これがものすごい映画でした。
あまりの衝撃にこうして筆を執らざるを得ない状況になったってわけです。
やはり先入観に囚われてはいけませんね。……というわけで、早速紹介していこうと思います。

この作品はいわゆる「実録系」のホラーです。
一応分からない方の為に解説いたしますと、いわゆる「実録系」っていうのは、『本当にあった』という設定で撮影されている、ホームビデオや心霊番組風の作品です。一般人や芸能人の皆さんが心霊スポットに行ったりしてビデオを撮影してたら、本当に幽霊が出て……! みたいな作品ですね。

こーいう作品では、役者が本名で出演していたりするのもよくあること。より『本当にあった』感を出すためですね。
よって、この作品の主人公、というかヒロイン3人は、『あびる優』役のあびる優、『岩佐真悠子』役の岩佐真悠子、『入来茉里』役の入来茉里。三人とももちろん芸能人の設定です。
この三人が、偉い人に騙されて、番組の打ち合わせに呼ばれるところから物語が始まります。
何のために呼ばれたのかもよく分かっていないうちに、番組ディレクターさんが現れ、実はこれが心霊系番組であることが明らかにされます。三人が困惑しているうちに、いきなりホームビデオが上映されます。

それは、金田さんというお宅の映像。このおうち、母の朋絵さん、娘の美保ちゃん、あとワンチャンの三人(?)で暮らしています。数か月前にこのおうちに引っ越してきた金田家の皆さんでしたが、それ以来怪現象に悩まされており、映像はその様子を撮影したものでした。
奇妙な音がし、ワンチャンが吠え、カメラには一瞬恐ろしい顔が映りこむ!

衝撃的な内容にビビる三人でしたが、なんと今回のロケは、霊能者の先生と一緒にこのお宅に伺って、事件解決までを追うという内容のもの。「大丈夫だと思われる」というかなりモヤッとした保証の元、三人はある日の昼、金田家へ向かいます……。

という、かなりまあ、ありがちといえばありがちな導入であります。
ここから実際に心霊事件が起こって、それで三人が大変なコトになっちゃうんだなぁ〜と、想像を膨らませた読者の方も沢山いらっしゃるでしょう。……まあ、大体合ってますけど。

しかし、この映画をそこら辺に転がってるただのホラーだと思ってはいけない!
このありがちな導入から奇跡を起こしたのが、この驚愕の映画『カルト』なのです!!


この映画には、なんと三人もの霊能力者が登場します。
大体想像ついちゃうかもわかりませんが、ひとりめが除霊してみてダメだった→ふたりめも除霊してみてダメだった→三人目! って感じですね。にしても、三人。結構粘りますね三人ってね。
その最初の霊能力者こそが、本作を語るのに欠かせない名キャラクター。その名を霊能力者・『雲水』
いかにもって感じの胡散臭い見た目をしたオジサン、雲水先生。しかしその霊能力は本物です。
金田家前で出会った三人へ挨拶したと思ったら、次の瞬間にはそのうちのひとりを捕まえ、

「スゥーーーーーーーッ……セイッ!」

そう言って、彼女に憑いていた小さな霊をあっという間に除霊してしまいます。
「憑依体質なんですね。恐らく、あのビデオを見た時に憑いたんでしょうね」
わざわざ解説してくれる雲水先生。流石、テレビ向けです。

その後も雲水先生は絶好調です。
金田さんのお宅で母娘を見るなり、美保ちゃんに向かって

「スゥーーーーーーーッ……」
(おっ、これは『セイッ!』来るか?)
「……美保ちゃんってぇ、小さい頃大きな病気とかしたことありますか?」
(来んのかぁーい!!!!!!!)


いきなりあえてちょっと外してくるお茶目な雲水先生。
なんでも、小さい頃に死にかけるような体験をすると、あの世との境界が曖昧になり、霊障(霊による障害、とわざわざ雲水先生が解説してくれました。流石雲水先生、テレビ向けの解説だ)が起こりやすかったりするのだとか。

そして、霊の正体を探るため、家の中を探索する雲水先生。
この際、霊を撮影するため、家じゅうにカメラが設置されます。このテの作品ではお決まりですね。

「スゥーーーーーーーッ……セイッ!」

家のあちこちに盛り塩をして、結界を作っていきつつ、様子を探ります。ところが。

「何も感じないんですよね」

なんと、この家に霊的な何かの存在を感じないという。あんなにいっぱい「スゥーーーーーーーッ……セイッ!」したのに何もないっておかしいダルルォ!? 思わずそうツッコんでしまっていた矢先……いきなり盛り塩を載せた皿が爆ぜます。
塩は奇妙な文様を描くし、皿は半分どっか行方不明になっちゃうし、もうメチャクチャです。

そんな状況で雲水先生が取った行動は……外に出てワンチャンのテニスボールを用い、地脈(地面を流れる気の通り道。これも雲水先生が解説してくれました)を見ること。なんかシュールです。地面にテニスボール置いてコロコロ転がるのを見ている変な格好のオジサン。

というわけで雲水先生、今夜早速お祓いをすることにします。
「肉、特に魚介類は絶対に食べないでください」
魚介類は肉のカテゴリに含まないと思うんですけど、女優の皆さんに対し、霊に取り憑かれないためのアドバイスをする雲水先生。そして夜を迎え、
「スゥーーーーーーッ……スゥーーーーーーーッ……」
アツい除霊をスタートします。お経とも真言とも分からん言葉を祭壇に向かってブツブツと唱え、家の邪気を祓おうとする雲水先生。しかしながら、お祓いが進むにつれ、何やら家の様子がおかしくなっていきます。テニスボールは勝手に動き出すし、ワンチャンは二階に行ってそれを追いかけだす。女優達の様子もおかしくなって、ひとりが突然苦しみだします。慌てて駆け寄る雲水先生!

「スゥーーーーーーーッ……セイッ! スゥーーーーーーーッ……セイッ!! ……何か食べましたね!?
「ごめんなさい! さっきハンバーガー食べました!!」


バカ! ウカツ!! そうやって人の話を聞かないから!!!
そうこうしているうちに娘の美保ちゃんまでいきなり部屋を抜け出してしまいます。いかにも逆再生っぽく階段を後ろ向きで駆け上がっていく美保ちゃん! うわぁ、これは階段をブリッジで駆けおりる『エクソシスト』の女の子のオマージュですね……たまげたなぁ(?)。
慌てて追いかけた一行を待っていたのは……可愛いワンチャンを生きたまま貪り食う美保ちゃんの姿! ワンチャン可哀想に。
暴れる彼女を取り押さえながら、鬼気迫る表情で雲水先生がとった行動は、なんとガラケーで師匠に電話。一瞬で事情を察した師匠は、前代未聞の『電話越し除霊』を行ないます。

「セイッ! セイッ! セイーーーーーーーッ!」

あっ、やっぱ師匠も「スゥーーーーーーーッ……セイッ!」するんだ! というか「セイッ!」ラッシュだ!
必死の「セイッ!」あって、正気を取り戻す美保ちゃん。しかし目の前の惨状を見て「ヴォエ!」と嘔吐してしまいます。そりゃそうだ。可愛いワンチャン食べちゃったわけだし……半端なグロシーンよりも嘔吐のがキツいですね。しかもその吐瀉物の中に、序盤で失われた盛り塩のお皿の残り半分が混ざっていたからさあ大変。これはもう手に負えないと、ついに雲水先生は師匠に頼ることとします。引き際をわきまえている。流石雲水先生。

数日後、二人目の霊能力者にして雲水先生の師匠、龍玄先生が登場します。
自分が定期的にお祓いをしているから安全なマンションに金田一家を避難させ、再び事件解決に乗り出します。
家を見るなり、「これは地脈がどうこうとかいう話じゃないな……」と断ずる龍玄先生。雲水先生全否定かよ。
テーブルを大胆に粉砕するほどの力を持つ悪質な霊をやっつけるため、早速夜に再び除霊を行ないます。龍玄フューチャリング雲水によるダブルお祓いです。

ところが、ここでも事態が急変。
突如明かりが消えたと思ったら、天井から生えてきたのは海藻みたいなの頭に生やして目玉をカタツムリみたく飛び出させた人間みたいな顔だけの化け物! なんじゃこのビジュアル!?
龍玄先生、必死でそれに対抗します。

「スゥーーーーーーーッ……セイッ! スゥーーーーーーーッ……セイッ!」

出た! 龍玄先生の生「スゥーーーーーーーッ……セイッ!」だ!!
ところが、これが全く効果ナシ。いくら先生がセイセイしても、相手は微動だにしません。
それどころか、側で補佐をしていた雲水先生の体内に入っていってしまいます。
一応何とかなったとして、その日は解散する一行……しかし、それが我々が雲水先生を見る最後の機会となるのです。
しばらく入院生活を送っていた雲水先生でしたが、数日後、容体が急変し、死亡。
その師である龍玄先生も、何かに操られたように突然車道に飛び出して、車にはねられ重症。
「あれは、人間が手を出しちゃいかんモンでした……」
入院中も襲ってきた『人間が手を出しちゃいかんモン』に対し、龍玄先生は必死に対抗しますが……結局、その命を落としてしまいます。
そんな……もう「スゥーーーーーーーッ……セイッ!」が聞けないなんて……「スゥーーーーーーーッ……セイッ!」が聞けなかったら、一体どう対抗したらいいんだ……。

いやいや、ここからがこの映画のスゴいところです。
龍玄先生は、死の間際、自分の知人の霊能力者に協力を依頼していました。
その男は……黒いスーツに左手だけ手袋、謎の金髪兄ちゃん。というか、『仮面ライダーオーズ』でアンク役を演じた三浦涼介です。これまでの二人と明らかに雰囲気違い過ぎる……というか、龍玄先生を「龍ちゃん」呼ばわりですよ。映像を確認するなり「こりゃ龍ちゃんじゃダメだわ」ですよ。

「あの……テレビに出てませんでした?」
「出てねぇよ」


ぶっきらぼうな返事。

「お名前はなんとお呼びしたらいいですか?」
「別に何でもいいよ。田中でもなんでも」
「いや、それじゃ普通過ぎるというか」
シャアとかならいいのか?」


シャアて。

「あ、そうだ、NEOにしよう」
NEO?」
「お前『マトリックス』知らねぇのか?」
「知ってますけど見たことはないです……」


というわけで、いきなり『NEO』を名乗りだした三浦君ですが、この人がまたムチャクチャな霊能力者です。そもそも霊能力者と呼んでいいのかすら謎。自分が除霊したモノについて「これ何ですか?」と問われても「さぁ、何だろうね?」信仰を問われても「俺は俺を信仰してるよ」それどころか「神とか仏とか……馬鹿馬鹿しいよな……馬鹿馬鹿しくない?」唯我独尊。
でも、このムチャクチャな彼が一瞬にしてバッタバッタと事件を解決していきます。

あれだけの犠牲者を出した家を見ても「別に。ふーんって感じ」「ふーんって感じなんだよ実際」と、ふーんって感じらしいNEO。巨大ロウソク持って「あああああああぁぁぁぁぁぁぁ↑」と何か叫びながら念じることで、邪悪なモノを跳ね返していきます。ここからがNEOの快進撃。ものすごい勢いで事件の原因を突き止め、今まで張っていた伏線を鬼のように回収し、この事件の黒幕を追い詰め、背後に謎の『カルト』が存在することまで明らかにします。
一応の決着をつけるも、いつの間にか世界の存亡を賭けたレベルの戦いに!
そしてNEO最大の名台詞……
「俺たちの戦いは……これからだ!」

で、終わり! この映画ここで終わりです!!


こりゃ、とんでもないモン見ちまったな、って思いましたよ。
前半は本格実録系Jホラーだと思ってたのに、後半でNEOが出た瞬間からすべての空気が変わりましたからね。NEO無双ですよ。スーパーヒーロータイムですよ。ニチアサかよ。すごいですね、同じ事件なのに、人が変わるとこうまで変わるか。雲水先生と龍玄先生がいくら「スゥーーーーーーーッ……セイッ!」しても解決できなかった問題を、「あああああああぁぁぁぁぁぁぁ↑」で全部解決しちゃいましたよ。
『ドリームキャッチャー』をホメカツした時も相当ビビったんですが、今回は舞台が日本だったのもあってか、それを超える衝撃でした……というか、違うんですよ。『ドリームキャッチャー』と本作では、唐突な展開の種類というものが。
『ドリームキャッチャー』は、超能力系のホラーかと思ったら細菌感染系……かと思ったらエイリアンモノで戦争要素まで入るという形でしたが、これを見て素直に受け入れられなかった人というのは、つまり本格的なホラーだと思ってたら宇宙戦争が始まった! どういうことだ! と、そのギャップが耐えられなかったわけですね。
一方『カルト』は、割とすんなりココが受け入れられる。どういうことか。それは『前半から既に胡散臭いから、後半の超展開も全然大丈夫』というところにあると思います。Jホラーにありがちな役者の棒読みとか、実録系のくせに安いCGが入ってたりとか、クリーチャーみたいなのが出現したりとか、前半であえてチープさを出しておく。オイオイと思いながらも、その面白さに観客は飽きずにどんどん見続けてしまう。で、後半で進撃のNEOですよ。これもう一気にのめり込む以外有り得ないでしょう。

しかもこの作品、超展開にさえ目をつぶれば、脚本は意外と良質なんですよ。
『クトゥルフ神話』をモチーフとしたというこの脚本は、そういう目で見てみると、なるほど『クトゥルフ神話』系作品的物語展開をしています。一般人がたまたま怪異に巻き込まれてしまい、半端な霊能力者程度では相手にならない。それはある邪悪な存在、そしてそれを信仰するカルトによって引き起こされていた。主人公達は探索しながら謎を解き、事件の全容に迫っていく……。
探索パートがNEOの活躍で一気に片付いたという一点を考慮しなければ、これもう完全に王道を往くクトゥルフモノですよ。こういうTRPGのシナリオあるかもしれない。触手ウネウネもクトゥルフ感出てます。
大体ですね、ちょっとムカつくことに、伏線の張り方が丁寧なんですよこの作品。
思うに後半のNEO無双の気持ちよさは、今まで張ってあった伏線が一気に回収されていくそのカタルシス感にあるんじゃないかと。『カルト』というタイトルの意味がラストで回収される時の気持ちよさといったら。更に、そういうあからさまに伏線伏線したシーンも勿論あるんですけど、何気ないシーンにさえ、「あ、こういう意味があったんだ!」と発見できたり。事件の真相を知った上で二周目を見ると、見え方が全然違ってくるんですよね。
ホントに、『バカみたいに見えるということまで計算に入れて』丁寧に練られた脚本なのだろうなと、そう感じさせられます。

低予算Jホラーとクトゥルフとスーパーヒーロータイムが、丁寧な仕事によって悪魔合体し、結果として笑いと『カルト的』人気を得る名作となりました。皆さんにも是非これを見て、『スゥーーーーーーーッ……セイッ! 』していただきたいものです。



では、次回のホメカツもお楽しみに。
今後もたくさん更新していきたいですけど、今回のように間が空いちゃうこともあるとおもいます。その時はゴメンナサイ……。

ブログランキング参加してます。是非クリックをお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

↓monacoinによる投げ銭メント行為はいつでも大歓迎です。
monacoin:MUfy2FARJdmkzP4KB69GYqbUqKhrgSDTSr
posted by 黒道蟲太郎 at 11:27| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。